だが待ってほしい早計ではないか通信(フリーライター三品純)

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週刊朝日報道についての考え

朝日新聞の100%子会社・朝日新聞出版が発行する「週刊朝日」の連載「ハシシタ 奴の本性」を巡り、橋下徹大阪市長が朝日新聞と同社系列の朝日放送の取材に応じないと表明した問題で、朝日新聞出版は18日、河畠大四・週刊朝日編集長名で、「同和地区を特定するような表現など、不適切な記述が複数ありました。橋下市長をはじめ、多くの皆様にご不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを深くおわびします。差別を是認したり、助長したりする意図は毛頭ありませんが、不適切な記述をしたことについて、深刻に受け止めています」との謝罪コメントを発表した。
http://news.livedoor.com/article/detail/7058122/



この一件なんですが、あまりに不可解です。
そしてメディアのあり方とまた同和の報じられ方について改めて疑問を感じました。
そもそも橋下市長の出自についての報道は、作年の『新潮45 11月号』に掲載された
上原善広氏の「孤独なポピュリストの原点」が発端でした。
その後、週刊新潮、週刊文春が「孤独なポピュリストの原点」を踏襲した内容の記事を
掲載しました。

それで今回の「週刊朝日」の記事、「ハシシタ 奴の本性」についてですが、内容は
はっきり言って「孤独なポピュリストの原点」の二番煎じのようなもので、
むしろ今さらなぜこの内容をやるのか理解に苦しみました。

もし今、橋下批判記事を掲載するならば、維新の内情、人脈、それからみんなの党との
再連携の裏側だとか、他にもやりようがあったと思いますし、知りたいという人は
多かったのではないでしょうか。
それがあえて同和ネタを扱う。しかも過去、散々同和万歳記事を書いてきた「朝日新聞」の
弟分とも言うべき週刊朝日の記事だから驚きです。

週刊朝日側の当初の思惑を邪推すると第一に考えられるのは
「ジャーナルしちゃった」というか「タブーに挑んじゃいました」的なメンタル。
台風の時に少年が防波堤に高波を見に行くような感じでしょう。

それから新潮と文春がすでに同様の話を報じても問題なかったから
「俺たちもOKじゃね? しかも大御所の佐野さんだし」
といったところでしょう。

しかしそれはあまりに安直というものです。
まず前回の新潮と文春の報道のその後を整理してみましょう。
http://www.bll.gr.jp/guide-seimei20111128.html

これは部落解放同盟中央本部の抗議文ですが、いずれも週刊新潮、週刊文春宛てに
送付されたものであって、元ネタである「新潮45」は対象になっていません。
当時、取材したところその理由は
「週刊誌の場合、部数が多く拡散性が高いため」
そんな理由でした。
しかしこれはおかしいです。「出自を暴く」ことと「特定の地区名」に触れる
ことが問題であれば、1部であろうが100万部であろうが関係ないはずです。
おそらくは出自をカミングアウトしている上原氏の記事だからというプレミアも
起因していることと思われますが、どうあれ不可解な対応であったことは否めません。
また橋下市長の対応も部落解放同盟と似たようなもので
「あのクソ文春が、バカ新潮が」と週刊誌側を攻撃するも、「新潮45」については
特にふれていませんでした。
「バカ新潮が」という中に「新潮45」も含んでいるという反論も成立すると
思いますが、あの当時の橋下氏の言い方は週刊新潮が矛先という印象でした。

本誌、月刊同和と在日でもこの一件について私淑している解放運動家の方に
インタビューをしてみました。

(参考)
●特集・「橋下徹」新潮―文春報道を考える
・スペシャルインタビュー「地元の解放運動家はどう見たか?」
http://atamaga.jp/dz13
http://p.booklog.jp/book/39654
https://market.android.com/details?id=jp.atamaga.dz13

この時にとても印象的だった意見として
「書くならやれ、と。その代わりに橋下さんには子供もいるから不愉快な思いをするかもしれない。
その責任は取れるのか。そこまで考えてやったのか?」
というお話でした。
そこをいくと週刊朝日の場合
「同和地区を特定するような表現など、不適切な記述が複数ありました」と
謝罪をしているわけです。
これも何を今さらという話で、その前提で掲載したのだから、最初から
扱わなければいいじゃないかと思います。

●ではなぜ橋下氏は「週刊朝日」に怒ったのか?

そもそも前回の新潮ー文春報道が橋下市長にとってマイナスだったでしょうか。
個人的にはあの壮絶な過去から名門の北野高校と早稲田大学に入学してそれで
弁護士になるなんてすごいなあと思いましたし、おそらく多くの大阪府民の方も
そういう受け取り方をしたのではないでしょうか。

さて一方の週刊朝日です。
本日18日の記者会見「人権問題と報道の自由について」でもかなり激しい口調で
朝日新聞と週刊朝日を批判しています。
http://www.ustream.tv/recorded/26233118
ここまでの強い姿勢は、新潮―文春報道では見れませんでした。

1:09:50
あたりから前回の対応と今回の対応の違いについて質問がありましたが、
橋下さんの説明は十分ではありません。

「あのときは選挙前で~」というのもちょっとお茶を濁したという格好です。

何がどう違うのでしょう。
おそらくですが、大阪府政―大阪市政下において「天敵」とも言うべき
朝日新聞を攻撃する格好のネタにしたのではと考えます。
橋下市長に対して批判的な朝日新聞に対して、「ハシシタ 奴の本性」を
きっかけに攻撃しよう、と。
そんな思惑を感じます。
でなければ、新潮―文春はOKで、朝日はNGという理由は成立しないはずです。
この点は橋下市長の狡猾さでしょうし、この矛盾について橋下さん自身も
たぶん明確な回答はできないと思います。

ただこうした矛盾を差っ引いても橋下さんに対してある種の同情心もあります。
というのは、例えば野中広務さん、元官房長官ですが、この人の場合は
被差別部落出身ということを公言した人物でした。

では仮に野中さんがカミングアウトしていない状態で、出自を暴くような記事が
掲載されることはありえたでしょうか。
絶対にありえないことと思います。
もちろん野中さんが現役の頃とは時代背景もまた解放運動の勢いも違いますから
一概に比較はできませんが、野中さんに限らずその他の政治家でもここまで
暴露される記事は掲載されないはずです。
別に例を挙げると仮に民主党の白眞勲参議院議員が通名で政治活動をしてきて
韓国籍名を伏せてきた、ということだったらどうか。
それで実は在日コリアンだったといった報道がありえるのか。
これもちょっと考えにくいような気もします。

ならなぜ橋下市長は血脈、出自を暴かれたのか?
それは「橋下徹だから」という説明しかつきません。

タレント弁護士としても成功して、府知事、市長になって今や日本維新の会を率いて
政局まで左右するようになった、と。人生ゲームでも
ここまでの成功を収めることは難しいでしょう。
これだけ注目度の高い政治家は近来、滅多に
いないから当然、ゴシップの対象にはなりえる。
しかもそれが保守反動の権化のように批判され「ハシズム」などと言われるような
人だから、普段は「人権」と叫ぶ人も容認してしまうというのか。

もしメディア全体で「公人だから許される」という論法が成立しえるならば、
これから先、それがどんな対象であっても実行されなければなりません。
橋下だからOKで、その他はご法度というのはフェアではないと思います。


●これから朝日はどう動く?

ではこれを受けて朝日グループはどう動くのか。

本当なら「ハア?」で済む話だと思いますが、同和が絡む以上、そうもいかないでしょう。
常套手段ならばこうなります。

次号で
「長年の取材活動の中で数々の部落差別を目撃してきて、その問題提起として
橋下徹という稀代の政治家のフィルターを通して、部落の真実を描きたかった」
みたいな完全に方向性も本来の趣旨も百万光年の彼方にふっとんだ
記事が掲載されるでしょう。それで一応、終わり。

その次に韓国―中国方式というやつで、批判の矛先そらしの意味で
別の敵を作る、と。具体的には自民党幹部か維新関係者あたり。

それで同時並行で朝日新聞大阪版紙面において
「特集 土地差別と部落」みたいな連載がスタートする。

例えばこんなイメージ。

府内の高校に通うエミ(仮名)はあの日のクラスメイトたちの視線を一生忘れない。
エミに注がれる眼、それは差別と偏見に満ちたものだった。
「ウチ同和地区に住んでんねん、と親友A子に話したんです」
エミにとっては過酷な告白だった。しかし親友と思ったクラスメイトの反応は予想もしない
ほど残酷なものだ。
「それからA子も急に冷たくなって…。クラスの子らもみんなウチを笑っているような気がして」




一方、週刊朝日では、例えば村崎太郎さんや栗原美和子さんのような人の
ロングインタビューが掲載される。そして朝日新聞出版から関連書籍が発行される。

これで一応の手打ち。

ただ本当に腹立たしいのが、結局、この記事によって
やはり同和問題とはタブーであることが印象付けられてしまったことです。
しかも今なお根強い差別が存在する、そんな言質を
与えてしまったようなもの。

「タブーに挑んじゃいました」的なメンタルと最初に書きましたけど、
これって本当に誰も得しない話で、また同じことの繰り返し。
時計の針を戻したような印象です。
しかも朝日新聞も今後、しばらくは橋下批判をトーンダウンせざるえない。
本当に誰も得しない結果が待っているでしょう。


*余談ですが、本誌「月刊同和と在日」につきましては、これからも同和地区名は
当然のように実名で報じていきますし、公人である限りはいかなる情報も
伝えていこうと思います。
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[ 2012年10月19日 00:59 ] カテゴリ:同和問題 | TB(0) | CM(2)
No title
橋下徹の出自についての報道は上原善広ではなく、森功「同和と橋下徹」(講談社『g2』2010年12月)が嚆矢ではないでしょうか。

それから

・上原善広「孤独なポピュリストの原点」(新潮社『新潮45』2011年11月号)
・「「同和」「暴力団」の渦に呑まれた独裁者「橋下知事」出生の秘密」(新潮社『週刊新潮』2011年10月27日号)
・「暴力団組員だった父はガス管をくわえて自殺 橋下徹42歳 書かれなかった「血脈」」(文藝春秋社『週刊文春』2011年10月27日号)

と続いています。

森功は同和地区出身ではないと思いますが、橋下も部落解放同盟も、あのうるさがたの小林健治さえも「同和と橋下徹」については無視しているようで不思議です。
[ 2012/10/19 11:45 ] [ 編集 ]
Re: No title
K様

大変詳細な補足をありがとうございます。
確かに森先生も同和絡みについて指摘されていました。
(同時期には産経新聞のWEB版でも同類の記事があった記憶があります)

森氏の記事の場合は親族の企業に口利きをしていた問題もあって
その関連から出自の問題が出ていたと思います。
それで発端としたのは、橋下市長の父親の素性や自殺など
ダイレクトな「出」の話の始まりは、「孤独なポピュリストの原点」がスタート
ではないかと考えたからでございます。

そのようにご理解を頂ければ幸いです。

それにしても今回の記事タイトルの「ハシシタ」という表記は
なんというか大変僭越なんですけども、センスのかけらもないと思いました。
これなどはもろに「河原乞食」といった存在を匂わすもので、なんともこう
「言うてやったわ」みたいな朝日側の意図が見えて自分が言うのもなんですが、不快でした。

>橋下も部落解放同盟も、あのうるさがたの小林健治さえも「同和と橋下徹」については無視しているようで不思議です。

しかもご指摘通りこれも不可解ですね。ちなみに自由同和会は、新潮と文春報道の時に抗議文を
出していましたが、こちらも週刊誌に限定した内容でした。
[ 2012/10/19 14:13 ] [ 編集 ]
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